蜩ノ記

読んでいない本は沢山ある中

日経日曜紙面の「名作コンシェルジュ」という音楽、文芸、映画・・各評論家による紹介コーナーに先々週、取り上げられていたので連休用に。

読んでいない・・の代表は、昨年、この頃にエントリした司馬遼太郎の「翔ぶが如く」で、十巻中のまだ五巻目。。単純に遅読、というのもあるが、読み応えが大きすぎて、一気に読めない且つ各章読み終える都度、もう一、二度ざっと再読して理解を深める・・というとカッコイイが、単なる理解力不足というか、何度読んでも吟味しきれないくらいのものがあり。

に比べると、純粋なノヴェル。映画でも観ているようにスッと読めてその先の展開を楽しく追いかけていける、人はいかに生きるべきかという普遍的なテーマを中心に据えつつ、それがあまり道徳一遍になってしまわないよう周囲にミステリーあり友情に純愛に・・・もふんだんに散りばめられたエンターテインメント性満載の興趣に富んだストーリー。

心洗われるというと陳腐な感想になってしまうが、純粋に涙するところは多くあって、名作に違わぬ感動を味わえた。著者による西郷作品もあるようなので読んでみようと思う。

葉室作品の根底には、日本という国や日本人とは何かを物語を通じて追求し、現代への提言としたいという意図がある。秋谷を巡るドラマにより表現された、人の生き方は、そこに繋がっていくのだ。

(日経紙面:文芸評論家 細谷正充)

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