障害者の経済学

中島隆信(東洋経済新報社)

2014/05/31読了、2014/06/14メモ

あなたの近くに

障害者の経済学増補改訂版

障害者の経済学増補改訂版
著者:中島隆信
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昨年度までの職場ではGDPをつくったり扱ったりする仕事をしていて、そうすると自然に経済学の知識やら論文やらに(そういつも深くまで掘り下げることはないが)必要や関心が広がる。著者もいうように経済学の観点で障害者を取り上げることは稀なのだが、それでも最近はちらほらと目にするようになった。

どれもまだ有効な手だては打てずに問題点の指摘や改善策の提示にとどまっていると思うが、潮流は今後も注意深く追ってみたい。ちょうど職場が変わって障害者をとりまく行政の制度の方にも近くなったので以前から関心のあった本書を手にしてみた。

本書の論評というかは非常に難しく、メモを取るにも相当に難儀する。何より取り扱うテーマが大き過ぎる。一見、普通に分かりやすいタイトルのようでいて、考えてみれば一冊で言い切れようはずもない問題の山積みしているのが障害者をとりまく環境。著者はご子息が障害者という、そうするだけの事情があったからの執筆となったが、本書の序章とあとがきとで繰り返し指摘されているとおり、正面切って研究はされてこなかった分野。

一般には普通の経済学者が避けて通る、触れずに済ませたいテーマながら、最初に書いたように注意していると時々は見かけるようにもなったので、今後、時々、ここでもふれてみたい。

個別のことには全く言及できずじまいだが、本書に挙げられた事例はどれも深く考えさせられた。ただ、著者にしてさえも、タイトルにした「経済学」には限定されず論点、焦点が定まらないと感じられる点はある。どうしても広がらざるを得ないことは分かる、それが問題の深さを表しているものなのだけれど。

結局、地域が障害者と共生できているかどうかは、そこに施設があるかどうかではなく、障害者がどのくらい町に出ているかどうかでわかるのである。なぜなら障害者が町に出るということは簡単なことではないからだ。(障害者の暮らしぶりで分かる「地域力」)

強いていえば僕自身、ずっと思っている、このこと。例えばあなたの毎日の生活に障害者と関わる時間(世界)はあるだろうか? 学校や職場に障害者がいるだろうか(「同僚」として)? 地域にいて同じ行事をしているだろうか(欠かせぬ「構成員」として)? 趣味をともにするサークルにいるだろうか(「仲間として」)? 知人、友人としての障害者がいるだろうか?

もしいないとしたら、それはあなたが知らず無意識に避けているからかもしれない。狭い世界で生きているからかもしれない。障害者の側から社会に出てゆくこと、出やすいような社会をつくること(制度)、そして社会も積極的に関わろうとすること、理想とかでなく、ちょっと意識して自分に問うてみればできることもある。

満足度:★★★★


 

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