同・級・生(下)

明日からは思い出

同級生

同級生
著者:柴門ふみ
価格:812円(税込、送料込)

あとがきだけで大いに語りがいあるが、再読した内容の方。

口絵の2人の姿からうかがえるバブル時の雰囲気に、また我が身の若かりし頃なども想い出され、懐かしさに気恥ずかしさも入り交じって1ページ目からしばらくニヤけどおし。今さらながらに読んでみるとその後の(今に至る)自分にしっかり影響を与えていることが自覚させられる(笑)。加えて(どこかできいた言い回しになってしまうが)作中の彼らは歳をとらずにずっと若い。もう五十歳前後になる愛読者にも往時を蘇らせてくれるような錯覚? も有り難い。

まあ、そんな個人的感慨はおくにしても、四半期世紀過ぎた今でも古びたところは全く感じない、あらためて面白く読ませる。

所詮はマンガの世界であり、そもそものテーマが恋だの何だのなんて甘ったるい、子どもっぽい・・・等々といってしまえばそれまでの内容だが、そこに何かしら感じない人生がつまらないのも確かであり、マンガだからこそ、現実ではない、でも非常に親近感ある設定をイマジネーションの世界で体現してくれる良さがある。作中の若い彼らの揺れる心理を非常に鋭く突いている点などは現実の世界に何ら違うところもなく、共感させられ胸を打つのは昔も今も変わらず。

卒業して社会に出れば直面する仕事に次は家庭。遅かれ早かれ考える結婚の問題となると、恋や互角の勝負は必要ない、計算打算の大きくなる極めて現実的な選択で生きてゆく。同級生同士のままでない限り、相手(異性)を「同級生」かどうかなんていう見方でとらえることもなくなってゆく。

再び、今度は下巻のあとがきから ──

・・・

それなのに人は、過去を振り返る時、失った時間は、限りなく輝いていたように思ってしまうのはなぜでしょう。

・・・

時の流れの前では、人間は無力です。

・・・

そんな人の世の、愛だけが、宝石です。

・・・

世界は、覆された宝石箱です。あちこちに宝石たちは散らばっています。埋もれているかもしれません。でも、あなたたちの手で、それを掘り起こして獲得してください。

「同級生」は男女のほんの一例に過ぎない切り口であろうが、誰もが一時期有している、短いがゆえにかけがえの無さも大きいところに美しさもほろ苦さもあって味わい深い。あとがきもそうだけれど、全21編につけられた粋なタイトルにも作者の思い入れが伝わってくるようで、トレンディードラマのはしりと呼ばせる以上のものが充分にある、

おまけ、というには失礼な・・・

前回、同い年の紀子さまのことを触れたが、原作後にTVドラマ化された主役の安田成美も「東京ラブストーリー」の鈴木保奈美もそう・・・と、この学年の女性は豪華(同い年の男がかすんでしまうのもやむなし・・・)。

2月の延岡行きの道中で読んだ幾千の夜、昨日の月 の著者、角田光代もそう。この中の「早朝4時のコンビニに並べられるのを心待ちにしていた毎週月曜発売と木曜発売の青年漫画誌・・・」の前者がビッグコミックスピリッツだったはずで、角田さんのその後の作品にも影響を与えたろうか・・・等々、TVを置かなかった3LDKのプリンセス紀子さまはさすがに読まなかったろうが、同じ時代の同級生らがどう読んでいたろうかと思うとそれも楽しい。

doukyusei
当時の単行本上下

 

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