物語 チェコの歴史 (総括)

薩摩秀登(2006年刊 中公新書)

2007/07/26読了、2007/08/04メモ

再読しながら毎日、一章ずつ要約

これまでの要約は、北海道出張中のホテルの部屋でパソコンが使えたことから思い立って始めたものである。その後は毎日、帰宅後に1章ずつを取り組んだ。各章は20頁前後ながら、そもそもがエッセンスの凝縮されている新書であるから、これをさらに要約するのも容易でなく、苦労しながらも、ようやく10章全てを完成させることができた。

就職後の二十年近く、ずっと読書後のメモをパソコンに入力し続けてきている。とはいえ、それはごく簡単で勝手な思いや、共感できる部分の抜き書き(抜き「打ち」では意味が違ってくる・・・から、抜きタイピング)程度のものであった。こうしてノートを取るような形は二、三度あったくらい。

一般読者向け新書とはいえ、歴史を記したものである以上、本書はある程度の予備知識を要求する。自分の能力では一読しただけでは10%が頭に残ったかどうかでしかなかった。それが再読し、要約する作業を経たことで半分くらいは理解が確かなものに変わってきた。


「世界史」の魅力を今また

久しぶりに「実学」とは離れて純粋な学問的な対象として勉強した感じである。そうでもなければ、おそらく人生一度しか遭遇しなかったはずの「叙任権闘争」なんていう用語と再会することもなかった。高校時代に「世界史」を学び、この科目を好んでいたつもりだったとはいえ、所詮は超ダイジェストな教科書一冊である。チェコについては全く知らなかったに等しい。

本書でチェコの存在が強調されるのは当然だが、一時は神聖ローマ帝国の首都となり栄華を極めた等、これほどチェコという国がヨーロッパ史の中で重要な位置を占めていた、多彩な歴史を有していたことは驚きであった。どうしても日本からみると「東か西か」で論じられ、チェコは「東の小国」として括られてしまうから。特に従前は研究の対象からも外れやすかったせいもあるのだろう。

山川出版社
以前とは表紙もだいぶ変わている・・・

今も映画等で興味を持ったとき、ふと手にするのが高校時代に使った山川出版社(いわゆる村井)の教科書だったり、同社の「用語集」なのだが、途中からは特に「用語集」と首っ引きで何度も読み返した。

神聖ローマ帝国、十字軍、教皇と皇帝の対立、宗教戦争、三十年戦争、ハプスブルク帝国、オーストリア継承戦争・・・等々。これらが当然のように出てくるから、その背景を知っておくのと知らないのとでは理解がまるで違ってくる。・・・というか、一読目がそうだったように、まるで頭に入らない、残らない。

以前の勉強はやはり「受験のための」「よく試験に出る」箇所だけの勉強だったに過ぎないことを思い、それでも用語集の懐かしい時間と空間を想い出しもした。世界史をマクロ的に見るばかりでなく、一国の内側から取り巻く周囲の状況を知ることで初めて理解できることも多かった。

新しい歴史、現代史にも関心を持ち続けて

さらには、僕のこの用語集が1982年版であるように、僕らが学んだのはその後のヨーロッパの激動の転換期以前のものであって、特にチェコという国を考えるとき、2度の大戦以上に、見方によれば最大の歴史的瞬間、体制転換をカバーしていないわけである。今なおチェコは新しい歴史のページを造り始めたばかりのはずで、とりわけ興味深かった終章ではその思いを強くさせられた。

旅行出発前、おかげでチェコという国がぐっと身近に感じられた。今また『プラハ歴史散策』という、こちらはより分かりやすく記述された内容の新書を読んでいる。本書で一苦労したことで、こちらは水がしみこむように理解できるのが楽しい(できればこちらもノートにしたかったくらい)。

今ではプラハ市内の広場や通りや聖堂や歴史的人物の銅像や、そしてそれらの由来が多少なりとも頭にあって、早く現地を訪れたい気分である。

満足度:★★★★★


 

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