物語 チェコの歴史(序)

薩摩秀登(2006年刊 中公新書)

2007/07/26読了、2007/07/28メモ

新書ながら本格的内容

久しぶりに重い本を読み切った。軽く読みやすい新書流行りの昨今、そのつもりで「ちょっと事前学習」位でいたのに、そこが中公新書ならではというか、内容は重厚な本格的テキスト。並の10倍以上の時間と労力がかかってしまった。

本書はチェコの歴史を年表的に追って解説するのでなく、主な時代ごとに特定の人物に照準を合わせながらチェコ史をたどろうとしたものである。そのため、通して読むとき時代的な流れやつながりという意味では把握しづらい点があるけれど、章ごとに様々なタイプの人間が用意され、その個性を描いた面白さで読ませる。

中欧や東欧、とりわけ「東」の体制にあった国に対して日本はなじみが薄い。世界史のテキストで「チェコスロヴァキア」という国が登場するのは1箇所あるかどうか。

旅行先として選ばなければ、そのまま一生知ろうとも思わなかった国(地域)であるけれど、この国の歴史が予想以上に多彩で尽きない魅力のあることを認識させられた。

民族、言語、歴史、宗教・・・の異なるヨーロッパの中心部で、かつ、紛争に巻き込まれることの多かった地だけに、新書一冊の分量に凝縮された内容を通り一遍で理解することは難しい。年号や人名や時代や周辺諸国家や・・・が入り乱れている。

けれども、自分にとってこれをいい機会ととらえ、各章を自分なりに要約することで理解と記憶を少しでも確かなものにしてみようと思う。

われわれはしばしば、1000年以上にわたるチェコの歴史をすべて「チェコ民族の歴史」とみなすという落とし穴に陥りがちになる。・・・(略)・・・が、近年、こうした「民族史観」には大きな疑問がつきつけられている。中世のチェコ王国と現代のチェコ共和国とを単純につなげて解釈するわけにはいかないこと、チェコの社会は中世から現代にいたるまで、はるかに多様な姿を持っていたことが明らかにされつつある。

満足度:★★★★★



 

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