シンコ・エスキーナス街の罠

シャッフルな物語

ペルーの腐敗を糾弾するという内容を、物語性を持たせて面白く読ませる、評者のことばを借りると'外見は娯楽性の強い通俗小説'。

日経の書評に取り上げられていたのが面白そうだったので図書館にて。作品が発表されれば必ず書評で紹介されるので名前だけは知っていた程度だが、著者マリオ・バルガス=リョサは2010年ノーベル文学賞受賞者。

小説は異なる3つの場面(世界、局面)を交互に描き、官能小説色もふんだんで、プリンストン大学で講義をし、ノーベル文学賞も競った・・と何かと村上春樹との共通点がありそう。

小説としては中盤までミステリアスなところが誘導して面白いのだが、終盤は政治面に収束されていくところがペルーの政情を肌感覚で知っていればクライマックスの興奮を一層味わえるのだろうと思いつつ、日本人にはフジモリの名前に親しみはもてても、急に小説から離脱したような違和感も感じられた。

訳者あとがきで触れられた著者やペルーについての解説を知ると、大統領選で自らが敗れた私憤も強く込められているようで(正義としての糾弾、であっても)、感じた違和感が腑に落ちるところもあった。


 

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