忘れられた巨人

霧の正体

前作「夜想曲集」迄は新作の刊行を楽しみにして読んでいたが、その後、少し、熱が冷めた感じで距離を置いていたらノーベル文学賞を受賞。にわかに手に取ってみた大勢の日本人と同じく、「これは読まないと」で、まさに自分にも「忘れていた」巨匠、「夜想曲集」をアップしていたのが2009年なので8年ぶりのカズオ・イシグロ作品。

最初の内は「充たされざる者」のような、とらえどころの無さを感じたが、次第に輪郭もはっきりしてきて、どうやら中近世? 騎士物語のような、不思議なお伽話。例により分かりにくさはあるけれど、イシグロ作品の中ではまだ素直な方なのでは。

作中に登場する老夫婦、騎士、戦士、少年・・・の、定かで無い記憶、その周辺のぼんやり感をそれぞれの人物と同時に読者にも投げて、思い出せそうではっきりしない、霧に覆われたような、何となくな夢現の境界を歩く紀行モノ、とでもいえるのか。

久しぶりのイシグロワールド、昨年10月末の和歌山道中で買ってから、この連休でやっと読了。

★★★★★


 

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