或る「小倉日記」伝

松本清張は

高校時代の受験勉強の合間によく読んだ。読み出すと面白いので息抜き以上の存在だったが、読むのを励みに頑張っていた記憶がある。

表題作はタイトルだけ知っていて、けれど初期の作品の芥川賞受賞作で、娯楽ミステリーらしさがないような勝手な思い込みで手にしないまま、結局大学時代以降は清張からも遠ざかってしまった。

先週土曜(10/12)の日経の読書欄にある「半歩遅れの読書術」で、考古学者の松木武彦氏が「誇張でなく100回以上読んでいる」という紹介に惹かれ、遅まきながら今日、届いた文庫を読んでみたら本当に面白い。

自分が歳をとったからというのもあるはずの、主人公に追われる対象の鴎外の挿話も含め、松木氏のいう「さわやかでない読後感」の、苦みも含めた人生の陰影が。

文庫は短編集。まだ、表題作ともう一遍だけしか読んでいないが、2編目の「菊枕」も福岡が舞台。吟行先の地に「都府楼址」も出てきて、ちょうど今日、「即位礼正殿の儀」を記念して西鉄天神大牟田線の「都府楼前駅」に「令和の里」の副駅名が付けられたというニュースを見た直後だったので、自分にもいい記念になった。


 

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