すばらしい墜落

新たな人生を模索する人々の物語

病室にはどうだかなタイトルながら、入院後にAmazonおすすめメールから注文しての即読了。

5年前に感銘した「自由生活」の著者ハ・ジンによる、ニューヨークに暮らす中国系移民の生活を描いた短編集。原文がそうなのか訳のせいなのか、文体的には少し読みづらい抵抗もあり最初は一体何の面白さが? と感じられるのだが、順に愉しい編を並べているようにさえ思えてくる、段々と納得し次を求める自分がいる。

国家の成り立ちの違いというか平均で同質な日本にいるからだろうか、名を捨て親を捨て国を棄て…の切迫感や危機感やの度合いがまるで違い、物語との間に距離があるのだろうなとも自分で気付くが、著者自身のいう「孤独を耐え忍び、故郷を探す人々の物語」という切なさは伝わってくる。

個人的には帯にある「胸にしみる」というより、「胸を打つ」。「自由生活」同様、逆境や苦境、あるいは不利な状況にあって希望を模索する姿に、自分(たち)が持っていない強さをみせられる。

ぼくはそれ以来、一度も先生と会ったことがない。いまどこにいるのかも知らない。この二十年というもの、州から州へと移動し、中国には二度と戻らなかった。その間にいつしかあのヘミングウェイの論文もなくしてしまった。でも、いまでも覚えていることがある。孟先生がニューヨークを発ったまさにその日の夜、ぼくは机に向かって、初めての小説を英語で書きはじめたのだった。

★★★★


 

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