イーユン・リー/綾瀬はるか/カズオ・イシグロ

英語が解き放った中国の文才

今朝の日経1面、シリーズ「アジア ひと未来」の8回目(多分、今日が最後)として作家イーユン・リーが登場。これまで登場してきたのはほぼ経済人。なぜに文芸人が、の抜擢に驚く。

冒頭で村上春樹を引き合いに出してはいるが、米国はともかく日本ではまだ知る人も少ないはず── 県庁所在市の図書館ですら最新作は誰にも読まれていないようで4ヶ月、ずっと繰り返し借りることができた ── 編集担当者の内、web刊でも関連記事を担当されている記者が小説好きなのだろう。

記事は、リーが作品を通じて中国の変貌をとらえているところが焦点のようで、在米中国人の彼女に米ソに続く米中の今後の関係を問わせているが、そんな主題よりも、ニューヨーク・タイムズ紙の評価や「リーが英語で描く市井の中国人の物語は米読者の琴線に触れた」という米文芸誌の論がまさしく、と強くうなずけた。

僕もまだ2作しか読んでいない(デビュー作「千年の祈り」と最新作「独りでいるより優しくて」)し、僕が激賞してどうなるものでもないが(笑)、本当に琴線に響き通しで心のひだに沁みる連続。今回、印象的に思えたのは、リーの描く中国の歴史をからめた物語が、日本の場合はまだアジアとの文化の共通性あり通じやすいと思えるが、そうでないはずの米国人の心さえ、しかも母語でない英語を通じてつかむのだということ。

カズオ・イシグロ

同じように英語で作品を発表するアジア系としてハ・ジンや、カズオ・イシグロのこともすぐに思う。村上春樹も含めて、きっと誰かが近い将来、ノーベル賞を受賞するのだろうが、リーの最新作を読んだばかりの僕としては、リーの恐ろしさがどこまで深化するのだろうと興味深い。

そのイシグロがらみで、数日前の紙面広告、文藝春秋最新号の見出しが「綾瀬はるか カズオ・イシグロに会いに行く」とあって、なぜ? と思っていたら昨日のTVで判明。

イシグロの「わたしを離さないで」がドラマ化されてTV放映されるとのこと。既に英本国で映画になってはいる、綾瀬はるからの日本人によるドラマとしてはちょっとイメージしにくいが、楽しみに見てみたい。

ちなみにリーの「千年の祈り」も映画化されていて、僕は最初に観た映画がとても良くて原作に移った方。リーの作品もイシグロのも、叙情性豊かで想像力をかきたてる。映画人が映像にしてみたいと思わせるのだろう。

20160110nikkei

 

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