回顧2010 本棚

今年は久しぶりによく読めた方でエントリ数も割に多かった。「3冊」では惜しいのでベスト4、3位同点の以下4点。新刊は1位のみ。過去の名作に触れて良かった、というのが多い。

第1位 自由生活/ハ・ジン


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A Free Life

質量ともに圧倒され強く心に響いた作。「李陵」に出る蘇武のような、武骨な生き方を貫こうとする主人公の生き方に熱くさせられた。

本書『自由生活』は、アメリカという異国で孤独と孤立感に苛まれながらも、苦悶と苦闘の末にそれを個人の力で打破し、自分だけの地平を(たとえ人が評価しなくても)視界の中へ手に入れることの尊さを、もっとも大きなテーマとしている。人も羨むような成功を果たすのではなく、・・・


第2位 鼠 鈴木商店焼打ち事件/城山三郎

鼠 鈴木商店焼打ち事件 - 1


鼠―鈴木商店焼打ち事件 (文春文庫 し 2-1) (文庫)
鼠 鈴木商店焼打ち事件

佐野真一氏の推薦した「ケタ外れの日本人」。作者の鬼気迫る執念、迫力で詳らかにされた現代史の真相に手に汗を握るほどの衝撃と感動が続く。

僕は魅力を感じた人、志をもった人、こうあってほしい人のロマンを描いてきた

(日経新聞文化面「気骨・信念の人 城山三郎没後三年」)


第3位 黄昏 / 不滅/イー・ユン・リー

黄昏 / 不滅


千年の祈り (新潮クレスト・ブックス)
千年の祈り

映画を観てから知った作品。人間の弱みや傷を淡々と、けれども深く近く寄り添ってその心のひだを丁寧に描き抜く。静謐な中に感動続く珠玉の短編集。

イーユン・リーが描き出す人物の境遇は、基本的にみな「ひとり」である。孤独を望んだのではなく、自分ではどうしようもない大きな外の力によってそうあるほかなかった人々を描きながら、しかし彼女があたたかい言葉をかけて背中を押してやることはないし、「その後」に希望を持たせてやろうという過度な気遣いもない。


第3位 ただマイヨ・ジョーヌのためでなく/ランス・アームストロング

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく


ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫) (文庫)
It's Not About the Bike

10年前のベストセラーを文庫で読了。自己を問い、自分をみつめる叙情性豊かな心理描写が見事。

「あなたはこのタイプの病気にかかることを、運命づけられていたのだと思いますよ」

「一つには、きっとあなたがそれを克服することができるから。もう一つは、あなたの人間としての可能性は、ただの自転車選手でいるよりはもっと大きいものだから」



 

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