2009年の本棚best3

毎年のことながら振り返ると読んだ本の少なさに嘆くばかり。自戒の意味も込めつつ、三選。

第1位 夜想曲集/カズオ・イシグロ

夜想曲集---夢の残滓


夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (単行本)
夜想曲集
音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

中で比較的、読んだのはイシグロの初期作品とこの最新作。これまでとはだいぶ趣も変わって軽いタッチの短編集ながら青春のほろ苦さ、夢の残滓を見せて味わい深い。

これはサラ・ボーンの≪パリの四月≫。クリフォード・ブラウンのトランペットで歌った1954年バージョンだ。だから、長い。少なくとも八分間はつづく。ぼくにはそれが嬉しかった。この歌が終われば、ぼくらが踊ることはもうない。


第2位 私の履歴書/鳥羽博道

人の不幸を作らない


ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記 (日経ビジネス人文庫) (文庫)

本、ではなく日経の連載になるのだけれど──。説得力ある文章で毎日、引き付けられた。

喫茶業に進出した出発点が「人の不幸を作らない」という思いであり、オーナーの喜びが私の喜びだったからだ。

さらにその原点はと考えると「至誠通天(至誠天に通ず)」という言葉に行き着く。父の好んだ言葉であり、この四字を記した書が実家の壁に飾ってあった。私は日々それを見ながら幼少期を過ごし、いつの間にか自分の仕事の指針にしていたのだった。

第3位 二十歳の原点/高野悦子

二十歳の原点


二十歳の原点 (新潮文庫)
二十歳の原点

没後40年。22年前、衝撃を受けつつ読んだ本を再び、思い出させてくれた。

ブログにメールにツィッター・・・のお手軽な時代。本来、人に読まれることを前提としていない日記だけに叫び声が突き刺さる。

彼女にとって日記は逃避の場所とはならなかった。むしろ「醜い」と信じる自分、あるいは「醜くならなくてはならない」自分を映し出す鏡だった。そこは罪や恥や反省をひそかに保管する場所でもあった。


 

  Related Entries


Message

メールアドレスが公開されることはありません。